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「親の前ではいい子」の心理って?親としてできることを考えてみた。

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0歳児、2歳児、4歳児の3児の母。臨床心理士とWebコンサルタントの2足のわらじ。「自然に学べる環境づくり」について勉強中。教育・発達・おもちゃ分野でのWeb集客やライティングのお仕事をお受けしています。
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「親の前ではいい子」だけど、一歩家庭から離れると手をつけられないほど感情のコントロールが難しい子供。
 
 
スクールカウンセラーをしていた頃、そういう子供たちをたくさん見てきました。
 
 
どうして親の前でだけいい子になるの?

親としてどう対応すればいい?
 
 
今回は、子供が「親の前ではいい子」になるプロセスと、親としての対応法を書いていきたいと思います。

「親の前ではいい子」とは?

最近、「親の前ではいい子」なのに、園や学校では「キレやすい子」というのが増えています。
 
 
学校では手がつけられないほど暴言や暴力をふるう子供でも、親の前では、ニコニコとしてとてもいい子。
 
 
なので、親御さんに学校での問題を伝えても「え、なんのこと?」と言う感じの反応をされることも多いです。
 
 
むしろ、「学校での対応が悪い!」と取り合ってもらえない場合もあります。
 
 
「親の前でいい子」は、親としては、扱いが楽で育てやすい子供。
 
 
親としては助かる面もありますが、思春期以降に大きな問題となって返ってくることがあります。
 
 
たとえば、不登校や引きこもり、家庭内暴力、自傷など、、、。
 
 
今まではうまくいっていたはずの子育てに、急に大きな問題が出てきて困ってしまう親御さんも多いです。
 
 

「親の前ではいい子」になるプロセスは?

では、どうやって子供は「親の前ではいい子」として成長していくのでしょうか?
 
 
簡単な例をつかって説明してみますね。

ネガティブな感情を切り離してしまう子供

たとえば、4歳くらいの男の子が道路で激しくこけたとき。
 
 
ゴツゴツのコンクリートだし、ひざはかなりすりむけてるし、これはめっちゃ痛い!
 
 
さっきまで、笑顔で跳ねたり走ったりしていた男の子のテンションはだいなし!
 
 
表情もみるみる泣き顔になっていきます。
 
 
それを見ていたお母さんが一言。
 
 
「痛くない!」
 
 
(こういう言葉って子育て中に結構言ってしまいやすいですよね)
 
 
この言葉を言われた男の子の心はどうなっているかというと…

こんな風に、からだの「痛み」の感覚とお母さんから言われた「痛くない!」の間で矛盾を抱えて葛藤するんですね。

パターン1:やっぱり痛いよ!

葛藤の結果、「お母さんは、『痛くない』って言ったけど、痛いもんは痛い!」と自分のからだの感覚を優先して主張できる子供は心が健康に成長している子供です。

「痛い!」と泣いたりぐずったりした場合、親としては「大変だなぁ」とちょっと困ってしまいますよね。
 
 
でも、子供が親の前で泣いたりぐずったりできるのは、親との愛着関係がしっかりしているという証拠でもあります。
 
 
子供は「自分のネガティブな部分を表現しても親から愛される」と無意識に感じているから、お母さんの前で安心して泣いたりぐずったりできるんです。
 
 
子供が泣けば、それを見た親は、ケガの手当をしたり、さすったり、抱っこしたりして、子供のために手をかけます。
 
 
そして、子供は安心を感じながら泣き止むことができ、さらに親との愛着が深く結びついていくわけです。
 
 
親としっかりとした愛着を結べた子供は、心がしっかりと発達していきます。

パターン2:痛くないよ

葛藤の結果、「お母さんは、『痛くない』って言うから、痛くないはず」と無意識のうちに自分のからだの感覚を否定して、親の言うことに適応してしまう子もいます。

自分から「痛み」を切り離して、ケロっとした表情をしているんですね。
 
 
「痛くてグズグズ泣いてしまう自分」は親から愛されないと無意識に思っているために、親の言うことに過剰に適応してしまう、という事例です。
 
 
こういう子は、「手のかからない子」なので、親の目から見ると「いい子」に見えます。
 
 
そして、「泣きもぐずりもしないこと」をさらに褒めます。
 
 
すると、子供の中で「痛い」というからだの感覚を否定することが「いいこと」になるため、その行動はさらに強化されます。
 
 
こうして、「親の前ではよい子」として成長していくのです。

ネガティブな感情も必要。丁寧に扱っていくことが大事

命を維持していくために、わたしたちは息をしたり、汗をかいたり、排泄したりします。
 
 
それと同じように、人の不安や恐怖、痛みなどのネガティブな感情は、命を守るために必要な本能的な機能です。
 
 
わたしたち親は、子供に「汗をかいたらだめ!」なんて絶対言いませんよね。
 
 
一方で、「こわくないよ」「不安じゃないよ」「痛くないよ」と子供のネガティブな感情を否定する意味で、「大丈夫だよ〜」と言ってしまうことは多いです。
 
 
でも、ネガティブな感情も子供のからだから命を守るために必要な機能。
 
 
ネガティブな感情も、「うれしい」「楽しい」などのポイティブな感情と同じくらい丁寧に扱っていくことが大切です。

なぜ親は子供のネガティブな感情を受け入れられないのか?

ここまで、子供のネガティブな感情を表現させないようにすることで「親の前ではいい子」として成長していくということを説明してきました。
 
 
でも、ここまで書いてきたことを「目からウロコの情報だったわ」という親御さんって、あんまりいないと思うんです。
 
 
どっちかと言うと、
 
 
「この記事に書いてあることって十分に分かってる(でも、やってしまう…)」

「うすうす気づいてた(やっぱり感情の否定はだめなのね)」
 
 
という親御さんが多いと思います。
 
 
そう。
 
 
わたしたちは、わかっているのに、やってしまうんです!!!
 
 
子供のネガティブな感情を受け入れてやりたいのに、受け入れられない。
 
 
子供がぐずると、親自身がどうしようもないくらい不快な気持ちになってしまって、イライラしたり、怒鳴ったりしてしまう。
 
 

なんでわたしたちは、子供のぐずりに耐えられないんだろう?

なぎさ

親自身もネガティブな感情を受け止めてもらえなかった

わたしたち親が、子供のネガティブな感情の表現(かんしゃく、泣き、ぐずり)に耐えられない原因の一つに、「自分自身も、幼少期にネガティブな感情をしっかりと受け止めてもらえなかった」ということが挙げられます。
 
 
私自身、上の子がまだ赤ちゃんだったとき、赤ちゃんが泣くと自分が責められている感じがして、モヤモヤやイライラが止まらないことがありました。
 
 
心理学の分野では、赤ちゃんが泣いているのを見て、親の方にイライラやモヤモヤなどの不快感がこみあげてくるのは、「親自身が赤ちゃんだった頃の記憶がよみがえっているから」という説があります。
 
 
乳幼児期の頃の記憶というのは、言葉を介したものは少なく、からだの感覚や、聴覚、視覚などの漠然としていて曖昧なものが多いです。
 
 
もし、子供がネガティブな感情を表現してきたときに、親自身にイライラやモヤモヤがこみあげてくるのであれば、「自分が子供と同じくらいの年齢のときに感じていた恐怖や不安の記憶」がこみあげてきているのかもしれません。

「いい親でないとダメ」という幻想

子供のネガティブな気持ちが受け止めきれないもう一つの理由は、親自身が「いい親でいなければならない」という気持ちが強すぎることが挙げられます。
 
 
自分の子供が大人にとって「いい子」でなければ、自分も「いい親」と評価されないので、どうにかして子供を「いい子」にしようとして、厳しく叱っちゃうというパターンです。
 
 
とにかく、日本は、周囲や世間から「いい親でいなければいけない」という圧力がめっちゃ強い。
 
 
世間は育児に過干渉で、子育てのことになると土足でプライバシーに踏み込んできます。

  • 妊娠中の体重コントロールができないこと
  • 母乳がでないこと
  • 母親が仕事をすること
  • トイレットトレーニングが進まないこと
  • 子供の発達が基準より遅れていること
  • 子供のしつけが甘いこと

もう、ありとあらゆる方向から干渉してくるジャパン。
 
 
特に、お母さんに対するバッシングや理想の押し付けは結構ひどいなぁと感じています。
 
 
テレビもネットも「まじ、うっせー」って思いますよね。
 
 
(乳児を抱えた孤独な母親なんて、テレビとネットが主な情報源なのに!)
 
 
この前、娘の幼稚園のおたより帳に入っていた月刊誌を見ていたら、表紙にとんでもないことが書かれていました。

こんなGOODママは求めないで!

3人の子育てをしていて大変そうなのに、辛そうな顔は見せずいつも笑顔で周囲を明るくしてくれるママ

 
 
あーもうこれこれ。
 
 
どんだけ母親に理想抱いてんのと。
 
 
この表紙にあるように、母親のことを評価したりバッシングするのは、意外と同じ立場の母親だったりもして、なかなかに傷つきやすい世の中だな、と思います。
 
 
自分の子供が「大人にとっていい子」でないと、「いい親」だと評価されないから、必死に子供にしつけをし、子供を叱ってしまう。
 
 
そういう部分って、わたし自身もすこし当てはまるなぁと思うことがあります。
 
 
子供にとっての「いい親」でありたい気持ちと、周りの大人から見て「いい親」でありたいっていう気持ちが葛藤している親御さんは多いんじゃないかな。

親が子供のネガティブな感情を受け入れるにはどうすればいい?

とは言っても、わたしたちが大切にしたいのはやっぱり子供。
 
 
からだが健康であってほしいように、心も健やかに育ってほしいわけです。
 
 
そのためには、子供のネガティブな感情を少しずつ受け入れるようにしていくことが欠かせない。
 
 

じゃあどうやったら、わたしたち親は子供のネガティブな感情をうまく受け入れることができるの?

なぎさ

親自身の問題を少しずつ解決していく

自身がうまくいっていないことがあったり、過去に置き去りにしてきた問題があるときは、心に余裕が生まれず、子供のネガティブな感情を受け入れにくい状態になっています。
 
 
だからこそ、まずは親自身の問題を解決しようと行動することが大事なんですよね。
 
 
もちろん、子育て中だから、自分のことをいつも優先できるわけじゃないんだけど、子育てと並行して自分をケアする時間を持つことが大事だと思います。
 
 
理由なくイライラ、モヤモヤするのであれば、周囲の頼れる人に話を聞いてもらったり、自分の悩みを書き出してみたりして、アウトプットしながら心の中を整理していくのがおすすめ。
 
 
深い悩みや混沌とした気持ちは、カウンセリングを受けることによっても軽くなります。
 
 
カウンセリングというと、精神的な病気の人が受けるものというイメージがまだまだ強くて、「敷居が高い」と思う人もいるけど、わたしはできればもっと多くの人に体験してもらいたい!
 
 
今は、オンラインでのカウンセリングも多いので、家にいながらもカウンセリングを受けれる時代です。
 
 
自分では、抱えきれないモヤモヤがある人はぜひ誰かに相談してみてくださいね^^

同じ価値観をもった仲間をつくる

やっぱり価値観は人それぞれで、価値観が合う人もいれば、合わない人もいます。
 
 
違う価値観を持った人と一緒にいると、価値観を否定されて自信がなくなる上に、こちらも相手にニコニコ対応しないといけなかったりして、めっちゃ消耗する!
 
 
それならば、同じ価値観を持った人のそばにいた方が絶対いいと思うんですよね。
 
 
わたしの場合、「完璧なママ像を求められる」というのはかなり嫌なこと。
 
 
先ほど紹介したママのための広報誌に少し怒りがわいたので、先日こんなツイートをしてみました。


 
 
そしたら、こんな風に返信してくれる方々もいて、、、

自分と同じ気持ちになっている人がいると思うとうれしい!
 
 
やっぱり、同じ価値観を持った人のいるところに身を置くっていうのがストレスがなくていいなぁと思います^^

自分の身近に価値観が似た人がいなければ、ネットでもつながれます!

なぎさ

さいごに

今回は、「ネガティブな感情を親に受け入れてもらえない体験」を赤ちゃんの頃から何度も繰り返してきた子供は、「親の前ではいい子」になってしまう可能性がある、ということを記事にしました。
 
 
子供の心の育ちを豊かにするために、子供のネガティブな感情を少しずつでも受け止めてあげたいですよね。
 
 
それには、親自身が自分の問題を解決して、心の余裕を取り戻していくことが欠かせないと思います。
 
 
「心の余裕を持つ」って、親としての大きな課題ですよね!
 
 
私自身、もっと、お母さんの心に余裕を持ってもらえるようなアイディアを提供していきたい!^^
 
 
もし、「わたしはこれで子育てに余裕がもてたよ!」というアイディアがあれば、ドシドシ教えてくださいね。
 
 
それでは!^^
 
 

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